アメリカのテキスタイル・トレードショー
アメリカのノースキャロライナロライナのグリーンズボロにきています。この町は昔から家具の会社と家具に使われるテキスタイルの会社が集まり、普段は何もないところなのですが、年2回大きな家具の展示会とテキスタイルの展示会が開かれます。家具の展示会は多くの人が集まりますが、テキスタイルはメインの方はほとんどが家具の会社の人たちで大量の椅子張り生地を買う人たちばかりです。ただ展示会といってもすべてアポ制で、それぞれのショールームで新作を説明してもらいます。
アポ制なので普通では入れないのですが、今回はIFDAのジャパンツアーで昨年日本に来られたポーラさんという方が大きなファブリックの卸をされており、毎年何百ロールも購入されるということで、各会社にアポを取られていたのでいっしょに連れて行ってもらったという次第です。一日10社以上のショールームをまわります。確かにアメリカは広大な土地なので、こうしてテキスタイルの会社が集まっているということは、年2回各地から集まるので、毎年新作を購入する顧客にとっては新作を見やすいということになります。どこのショールームでも大きな顧客なので大歓迎でお友達のように話されていたので、そのあたりを聞くと、この業界の人たちは何十年もかわらないみたいで、80歳以上の営業の方もおられ、とても楽しそうに生地の説明をされていました。
アメリカのテキスタイルインダストリーはいろいろな形態があるというのがわかりました。 アメリカのデザイナーがデザインしてトルコや中国インドでつくらせたり、アメリカでミルがあるところもあれば、中国のファブリックを扱っているところも多くありました。中国のファブリックもとても品質がよくてアメリカで流通するかなりの量をしめているので、今回のトランプの施策で関税が上がるということでとても困惑されていました。
朝やお昼の時間は朝食がでたり、夕方からはワインなどもでてちょっとしたパーティのようになります。アメリカで製造しているところはこのテキスタイルビルディングの近くに広大な工場があるところばかりで、デザインから糸の染色を含め織り機で完成し出荷するまで一貫してやっている会社は自社のスタイルや会社に誇りを持って働いていて、デザイナーも営業もすべての人たちが接客しています。テキスタイルにかかわっている人たちの楽しそうな様子はバイヤーにとっても大きな刺激なると思います。クッションのファブリック使いを見ているだけでも、アメリカのインテリアはやっぱり大好きです。
テキスタイルの傾向はベルベットの素材感があるものや、ポリエステルとリネンの混紡だけれどリネンの素材感がでたものや、ツイードのリネン風なものなど無地だけれど表情のあるもの、そしてベルベットやリネンでキラキラ光ったもの、プリントではアンティーク風に色がかすれているものが印象的でした。さらに機能面でも、皆がパフォーマンスファブリックと呼んでいる汚れ防止のテキスタイルがひとつの重要な要素となっているようです。アメリカの椅子張りファブリックの需要は高いので、カウチポテトでテレビを見ながらポテトチップを食べるという言葉が象徴しているように、くつろぎながらソファやチェアで食事やワインを楽しみ、またパーティも多ければこの汚れが付きにくいという性能はとても大事なようでした。
今回は主にリサブレアで最近導入した機械に使える無地の生地を主に探しました。デジタルプリントの生地も毎年少しずつ増えてきているようですが、ヨーローッパのメゾンの会社と比べるとデザイン的にうまくいっていないようで、どの会社もそれほど力を入れてないようでしたが、いろいろ参考になることを教えてもらえました。デジタルプリントも徐々に増えてきていることは確かですし、ハイムテキスタイルなどと違って椅子張りの会社ばかりで、織のテキスタイルが多いことも要因だと思いますが、織のファブリックに魅了されました。実際に生地の開発やデザインをしている人たちとお話しできるのはとてもいい機会です。
夜は久しぶりのアメリカンフードで、ハンバーガーは美味しいし、フレンチフライはおいしいし、おまけに大好きなタコスもあり、最後はこのラフな盛り付けが何とも言えずアメリカンのデザート、ピーカンパイとたっぷりの生クリームとアイスクリームは最高です。
アメリカに来ると彼らの陽気さとフレンドリーさでいつも楽しませてもらえますし、文化の違う人たちとのお話は刺激になります。そしていつも日本や日本のことを褒めてくれます。印象に残ったのはポーラが広島に行ったときに原爆記念館に行くと、日本の人たちがよく来てくれたという感じで接してくれるのに、日本人がパールハーバーのメモリアルホールに行くとひどいことをしておいて何しに来たというような非難をするアメリカ人を見るのは恥ずかしいということです。