ヘンリー・フォード2世ご夫妻の邸宅の家具がオークションに
イギリスのオークションハウスであるクリスティーズのメールマガジンを愛読しているのですが、絵画の他に家具類もよくオークションに出ていて、今回はアメリカでも屈指のセレブリティであり、有名なコレクターであるフォード2世のお家の家具がオークションに出ていました。典型的なイングリッシュスタイルのマナーハウスで、その家具類のコレクションはすべて18世紀のイギリスの有名なクラフトマンが製作したものが集められていました。残念ながら著作権の問題があるので写真を載せたりリンクは晴れないのですが是非 christes’s.com のメールマガジンNo.259をご覧になってください。
お部屋の写真も一部でているのですが、ファブリックや壁紙はColefax & Flowerのものでソファにも花柄のファブリックが使われていて、今では見つけるのが難しいトラディショナルな花柄です。こんな花柄を今の時代、今の家でうまく使いこなすのはむつかしいのですが、カーテンなどはこんな花柄でトップトリートメントもつけてやってみたいですね。
ファブリックの話はさておき、その中の家具の中でシノワの日本製キャビネットがでていました。18世紀にはシノワズリの陶器がヨーロッパの貴族の中でロココと相まって大流行し、それにともない日本の漆のシノワズリのキャビネットも中国製より高品質で美術的にもすぐれたものが多かったようでかなりヨーロッパに輸出されていたようです。そのようなシノワズリはジャポネズリ(Japonaiserie)といわれていたようで、ヨーロッパの職人たちもそれを真似て製作している人たちがジャポナー(Japonner)いわれてたようです。
ヘンリーフォードご夫妻のこのキャビネットは1725年から1730年にかけて制作されたようで、GEORGE I SCARLET,GILT AND BLACK JAPANNED BUREAU CABINETというタイトルがついていて、これだけ完璧な形で残っているものは世界で2つしかなく、もう一つはイギリス王室コレクション所蔵です。見積評価額はUS$120,000~180,000ということは約2千万弱ということなので、絵画のことを考えると決して高い値じゃない感じです。ただオークションなので一体いくらで競り落とされるか、そしてどんな人がこれを購入するのか興味しんしんです。残念なことにこのようなシノワズリー・ジャポネズリの素敵なキャビネットが日本に残ってるのでしょうか?私の知る限りでは見たことがありません。それなのにイギリスへ行くとヴィクトリア&アルバート美術館やウォレスコレクションなどやフランスのお城でもこのようなキャビネットが見られます。
昔25年以上前のことですが、香港に行ったときにアンティークショップがいっぱいあって、このようなすごくいいものではないけれどシノワズリのBUREAU CABINETを見つけてほしいなと思ったことがあります。でも送料が恐ろしくてほしかったけれど買えなかったことを今でも覚えています。5年ほど前に香港に行ったときにはアンティークショップはほとんどなくなっていて、ブランドショップと宝石時計店ばかりになっていました。話を聞くとアンティークはほとんど中国本土に買われてしまったらしいです。
2年前にベルギーにアンティークの買い付けに行ったときに、シノワズリのキャビネットを見つけたのに購入しなかったのは高価だったからなんですが今思うと残念。写真をとっているのは気になったからでしょうね。
今度は絶対購入します。コロナがあるのでいついけるかわかりませんが。