テキスタイル市場のトレンド”Nothing New, Every thing New”
こんにちは、デザイナーの吉村です。
先日Heimtextilのウェビナーがあり、2021/22のトレンドが発表されました。
来期のテキスタイルトレンドを皆様に共有と、リサブレア的共感のお話をブログにしようと思います。
HeimTextilとは
毎年ドイツのメッセフランクフルトで開催される、世界で最も大きなテキスタイル展示会イベントの一つ。
例年弊社も視察・新しい生地の買い付け商談をしに訪れています。
私が伺ったのはまだ一度だけですが、東京ドーム8個分もの広大な展示会場にギュッと各ブランドのブースが並び、世界のトレンドが凝縮され感じ取れる場でした。
2021/22のトレンドテーマ
“Nothing New, Every thing New”(新しいものはないけれど、全てが新しい)
まさにコロナの影響が反映されていますね。新しい生活様式の中、新しいものを作り出すよりも、今あるものに視点を変えて再注目していく感じがします。
パンデミック前までは、Furture is Urbanと言ったテーマで、世界で急速に進む都市化に伴って、テキスタイルは新興国へ向けたプロモーション・毎年どれだけ新しいものをアピールできるか?が中心でした。
都市化により、室内で過ごすことが増えるためインテリアにグリーンを取り入れる「バイオフィリックデザイン」や、都市部の大量のゴミの再資源化がテーマとなり「サスティナブル」に注目が集まりました。
既に注目されてきたサスティナブルが、パンデミック以降、加速的に進むとの見方です。
もはや流行の一つのジャンルとしてではなく、すベてが循環や持続性を意識したサスティナブルを基盤に考えられるようになるようです。
“Nothing New, Every thing New”のテーマは、4つのキーワードで構成されています。
①Re-purpose(再利用・変容)…アイデアをゼロから生み出すのではなく、今既にあるものを使って新しいものに変える
ex)余った生地でのパッチワーク・重ね合わせで新しい表情にするなど
②Re-wild(より自然へ)…自然に一体化していく素材への注目
ex)土に還る人工素材/天然素材の生地を一旦解いて、新たな生地や固形物に作り替えるなど
③Re-inforce(より力強く)…長い命のものを作ること
ex)素材をコーティング・裏地をつける・編むなどの加工で強くする/鉱物など強い素材への注目/耐久性が強い色としてブラック・ブラウンが注目
④Re-vive(復活)…完成品よりも、再生するプロセスにフォーカスする
ex)レース生地を糸に解き、縫製を密にしてラグに変える/ファストファッションの廃棄物を糸にして新しい生地にするなど
なんだか概念を文章にしたら小難しいようですが、とにかく今あるものを新たな視点でどれだけ活かせるかということだと思います。
生地の具体的なデザインも、リバイバル(2、30年ほど前を意識したような)のニュートロなものが多く出るようです。懐かしいような花柄も、今らしいアーシーなカラーリングで多く出る予感。
縫い合わせ、重ね合わせ、編み、染め、などのプロセスが見えるようなテクスチャ感のある生地も増えそう。
なんと米国のファッション市場では、2028年までに中古流通がファストファッションの1.5倍の市場規模にまで拡大するという予想もされています。(ThredUP「2019年版Resale report」より)
テキスタイルは服だけの話ではないですが、それほど今あるものを活かすことが注目されていく世界のトレンドを感じます。
そう意識してきたわけではなかったのですが、リサブレアの最近のワークは、実はこの時代性にとても沿っているように思います。
私たちはお客様のオーダー品に生地をなるべく無駄なく使いますが、どうしても端が余り、日々残布が出ます。
今まではそのまま廃棄したり、ハギレとして販売していたのですが、最近では新しいものに作り替える試みをしています。
例えばこのようなパッチワーククッションは実は余った生地から制作しているのですが、もしイチから作るとしたら生地取りがもったいなくてできないような贅沢で賑やかなデザインが、既にある生地たちの偶然の重なりで生まれてきます。
クッションや、ファブリックパネル、椅子張りも。パッチワークによって新しい価値を生み出しています。
このようなアイテムは全てオンラインショップに掲載しているので宜しければご覧になってみてください。
Risabraire Online Shop
11月はAWクッションフェア、12月はホリデーフェアとして、毎週(月)新作更新予定です♪
また、インテリアを長く愛して楽しむ工夫も、これまで以上に意識される世の中になるかと思います。
椅子張りやランプシェードの張り替えをさせていただき、新たな魅力に生まれ変わる感動はひとしおです。
カーテンも裏地をつけると格段に長持ちして、弊社とお付き合いの長いお客様のお話を伺うと10年以上綺麗に使っていただいている方もいて、驚き嬉しかったです。
元々のリサブレアのお仕事自体サステナブル性があるのですが、新たな循環のアイデアといえば、長年使った愛着のあるカーテンを傷んでいない部分はクッションに作り替えてまた愛用するのも良いかもしれないですし、古くなり捨てようと思っていたお気に入りのお着物やお洋服を切り抜いてファブリックパネルなんかにしても素敵かもしれません。
生地を扱うインテリアはなんでも作るリサブレアだからこそ、サスティナブルを環境意識高い人たちの遠い話ではなく、楽しく・当たり前に取り入れていくことを、皆様にお伝えできるのではないかと思いました。
そんなワークをこれからも続けていけたらと思います。皆様のサスティナブルライフのお力になれたら幸いです!
Designer:Yoshimura